イラストを収益化するに当たって、これまでの方法は競争率も高く、個人イラストレーターが生活費を稼ぐのは非常に困難でした。
しかし、最近ではNFTアートが流行しており、その技術によって個人イラストレーターの収益化の方法ががらりと変わってきているのです。
そこで今回は、NFTを出品してみたい方に向けて、NFTの始め方をわかりやすく解説します。「NFTとは何ぞや?」という定義まで解説しますので、初心者の方でもご安心ください。
NFTの定義と特徴を解説!
初めに、NFTの定義と特徴について解説します。(既に詳しく知っているという方は、読み飛ばしてもらっても構いません。)
NFTとは、「Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)」の略です。
日本語では「非代替性トークン」とも呼ばれます。
まとめると、NFTはブロックチェーン技術を用いて、画像や音声などのデジタルファイルに、自分が所持するものであるという”所有権”などのデータを付与することができるものということです。
また、分かりやすいNFTの特徴として、以下の5つにまとめました。
- 誰でも作成することができる
- 仮想通貨(ETHなど)で売買できる
- ウォレットにNFTを保存できる
- ウォレット同士でNFTを送信できる
- 作者にインセンティブ(報酬)が入る
誰でも作成することができる
NFTの作成には難しい知識は要らず、誰でもPNGなどの画像データを用いて作成することができます。既にあるデジタルデータをNFTに変換するといったイメージです。よくある誤解なのですが、初めからNFTとしてアートを1から作成する必要は無いわけですね。
ただし基本的にはガス代と呼ばれる手数料がかかるため、仮想通貨をウォレットに保持しておくことが必要です。
仮想通貨で売買できる
最近では日本円で売買できるNFTマーケットプレイスも登場していますが、基本的にはNFTは対応しているチェーンの仮想通貨にて売買します。この内容に関しては「NFTを購入する」の章にて詳しく後述します。
ウォレットにNFTを保存できる
NFTは基本的には仮想通貨のウォレットに保存することになります。定番のツールはMetamaskと呼ばれるウォレットです。これもまた記事の後半にて説明いたします。
ウォレット同士でNFTを送信できる
ウォレット同士で送信することで、譲渡も可能です。個人でウォレットを小分けにしてNFTを保存することもできます。ただしガス代と呼ばれる手数料はかかります。
イラスト作者にロイヤリティ収益が入る
自身が作成したNFTアートが二次流通で取引されることで、その内の数%が作者の利益(ロイヤリティ/印税)となります(OpenSeaの設定にもよる)。これもNFTがアートと相性が良いといわれている所以の一つです。
NFTがイラストの収益手段を変える
これまで、イラストレーター(絵描き)さんが自身のアートで生計を立てたいという場合でも、その方法がかなり限定的でありました。
coconala(ココナラ)やSKIMA(スキマ)などを使って、イラスト・アイコン作成依頼の受注をすることがポピュラーな方法でもありました。
ただしその単価は1,000円~10,000円ほど。しかもプラットフォームに支払う手数料も20%程度と高額です。知名度のない個人クリエイターが、イラスト・アイコン受注だけで生計を立てることは難しかったのです。
そこで登場したのがNFTです。自身の作成したイラストを、”所有権が明確なNFTアート作品”として売りに出すことができ、数万円どころか数十万円~数百万円以上で取引されることもあります。
さらに二次流通によるロイヤリティ(印税)も作者に半永久的に入り続けるため、NFTクリエイターとして人気になれば、かなりのリターンを期待できるというわけです。
今後、様々な個人アーティストがNFT界隈へと参入していくことでしょう。
NFTマーケットプレイスについて知ろう
いよいよNFTを出品するための方法について解説していきます。
まずはNFTを出品するための下準備編として、NFTマーケットプレイスについて説明します。
NFTを出品するための、有名なNFT販売サイトについて紹介します。それぞれ出品する方法や特徴も違いますので、しっかりと確認が必要です。
海外のNFTマーケットプレイス
海外のNFT販売サイトには様々な種類がありますが、最も有名なNFTマーケットプレイスである「OpenSea」を押さえておくと良いでしょう。OpenSeaではNFTの作成から出品まで行うことが可能であり、イーサリアムチェーンもしくはPolygonチェーンのNFTに対応しています。
他には、「Foundation」を利用してNFTを出品している日本のNFTアーティストも多いです。FoundationはOpenSeaとは違い、招待制であることとオークション形式であることが特徴です。招待制のため登録できるまでのハードルは高いですが、その分クオリティが高いNFTも集まるため、比較的に作品が高額で取引されています。
OpenSeaとFoundationの二刀流というアーティストの方も多いですので、初めはOpenSeaで試してみて、慣れてきたらFoundationに進出するという方法も良いかと思われます。
国内のNFTマーケットプレイス
国内のNFT販売サイトの特徴としては、日本円で取引できるところが多いのが特徴です。
まだ始まったばかりのNFTサービスが多いため、評判もしっかりと加味して選ぶ必要があります。個人的には「ANIFTY」がアニメ系の可愛いNFTが多く、Twitterで有名なアーティストさんも参加しているので覗いてみるのがおすすめです。
とはいえ、やはり断トツで知名度があるのは海外のNFT販売サイトであるOpenSeaです。NFTアーティストを名乗るのであれば、OpenSeaの使用方法は学んでおくべきでしょう。
よって本記事では、OpenSeaを使うと仮定してNFTの出品方法を解説していきます。
イラストをNFTとして出品する準備をする
NFTは初めからNFTとして作る必要はなく、元々あるイラストデータをNFTにすることができます。そう、NFTを作るのって意外と簡単なんです。
NFTに対応している拡張子
OpenSeaに記載されている、対応拡張子は以下の通り。
JPG, PNG, GIF, SVG, MP4, WEBM, MP3, WAV, OGG, GLB, GLTF
イラストであれば、基本的な拡張子であるJPG、PNGのデータを用意すれば良いでしょう。他にも動画であればMP4や、音楽であればMP3などのデータもNFTにすることができます。
ただしファイルの最大サイズは100MBまでなので注意しましょう。
Metamaskウォレットを用意する
Metamask(メタマスク)は仮想通貨で定番のウォレットアプリです。Metamaskの導入方法については割愛しますが、コインチェックの解説記事などが分かりやすいので参考にしてみてください。
スマホアプリ版など様々なバージョンがありますが、利便性の面からはGoogle Chromeの拡張機能として使うのがおすすめです。
OpenSeaでNFTを出品しよう
前章にて出品の下準備が終わったところで、この章では実際にNFTを出品する方法を解説していきます。
今回は定番のOpenSeaの場合で解説させていただきますが、他の場所で出品したい場合も応用できるかと思いますので、ぜひ本章でNFTの出品方法を学んでいってください。
OpenSeaでコレクションページを作成しよう
コレクションページとは、NFTの販売ページのようなものです。
自身のブランドイメージにも繋がりますので、しっかりと入力していきましょう。
My Collectionsの作成
OpenSeaにアクセスし、右上のアイコンの上にマウスを合わせると、「My Collections」のタブが出現しますのでクリックします。
次に「Create a collection」をクリックして、コレクションページの作成に移りましょう。
ロゴとバナーを設定する
ロゴイメージや、バナー画像を設定しましょう。赤い米印が付いているものは必須ですが、それ以外は飛ばしても構いません。(画像は分かりやすいよう日本語に翻訳しています)
あとはページの名前やSNS連携など、基礎的な設定をしていきましょう。
Creator earningsとブロックチェーンの設定をする
おそらく悩むのがこの部分ではないかと思われます。
「Creator earnings(クリエイターの収益)」というのはロイヤリティ(印税)のことで、最大10%まで設定できます。後から変更も可能ですので、適当に2.5%程度にしておくのが無難でしょう。
パーセンテージを設定したら、あとは収益受け取り用に、下準備しておいたMetamaskウォレットのアドレスを入力しましょう。
ブロックチェーンの設定に関しては、あくまでデフォルトでの設定なのでどちらでも構いません。通常はEthereumで良いかと思いますが、100ドル以下の低価格のNFTを販売するつもりであれば、ガス代が安いPolygonにしておくのが無難かと思われます。
支払いトークンに関しても、特に追加する必要はありません。
再設定に関しては「My Collections」ページの「Edit」から行うことができます。
ちなみにコレクションページは複数作成できますので、様々なシリーズのNFTコレクションページを作成しても面白そうですね。
OpenSeaでNFTを作成する
用意しておいたデジタルデータを使って、実際にNFTを作ってみましょう。
画面右上の「Create」ボタンをクリックします。
「Create New Item」の画面に移動しますので、作成するNFTのデータを入力していきます。
まずは基礎的な項目になります。
- Name:NFTの名称を設定します。英語で入力している人が多いです。
- External Link:自分のNFT紹介サイトなど持っている場合はURLを入力。無ければ飛ばして大丈夫です。
- Description:NFTの説明を入力します。英語で入力している人が多いです。関連するURLを入力している場合も多いです。
- Collection:先ほど作成したコレクションを選びましょう。
ここからは少々難しい項目になります。
Properties
Properties(プロパティ)。NFTに関する追加情報を入力することができ、長方形の形で表示されます。
特にこだわりが無ければ入力しなくて大丈夫です。
Levels
Levels(レベル)。プログレスバーの形で表現できる数値特性です。
特にこだわりが無ければ入力しなくて大丈夫です。
Stats
Stats(統計)。数字として表示される数値特性です。
特にこだわりが無ければ入力しなくて大丈夫です。
残りの項目は簡単なものですので、簡潔に解説します。
- Unlockable Content:NFTの所有者のみが閲覧できるコンテンツです。NFT所有者だけが知ることができる秘密のサイトやパスワードなど設定しても面白いかもしれませんね。
- Explicit & Sensitive Content:NFTの内容がセンシティブなものに該当する場合はチェックを入れます。基本は無視して大丈夫です。
- Supply:鋳造できるNFT数の上限ですが、現在は1しか設定できないようです。今後のアップデートで設定可能になる様子。
- BlockChain:イーサリアムチェーンとPolygonチェーンから選ぶことになります。これは大事ですので、次のステップで詳しく説明します。
- Freeze metadata:NFTのデータを凍結させ、変更できなくします。これはNFTを一度作成した後に設定するもののため、とりあえずは無視しておきましょう。
NFTのチェーンをイーサリアムとPolygonから選ぶ
NFTのチェーンを、イーサリアムかPolygonのどちらで作成するか決めましょう。
- イーサリアムチェーンのNFT…ガス代(手数料)が高い。ただし王道な分、NFTに高い価値が付きやすい傾向があるので、高い価値を付けて欲しい渾身の作品であればイーサリアムチェーンを選ぼう。
- ポリゴンチェーンのNFT…ガス代(手数料)が安い。出品の際にも、取引の際にも有難い庶民の味方。大量流通型のNFTの場合や、NFTの値段を安価に設定するつもりならポリゴンチェーンを選ぼう。
どうしても決められない場合は、他のNFTクリエイターさんはどうしているのか確認したり相談してみると良いでしょう。
出品用のガス代を用意する
イーサリアムチェーンのNFTを出品するのであれば、ガス代用にイーサリアム(ETH)をMetamaskに用意しましょう。ガス代は日々変動しますが、一応は最低でも100ドル分程度は用意しておきたいものです。
イーサリアムを用意する際は、GMOコインなどの取引所で売買することができます。
「GMOコインの登録方法を解説!送金手数料が無料の仮想通貨取引所」
ポリゴンチェーンのNFTを出品するのであれば、ガス代用にMATIC(Polygon)をMetamaskに用意しましょう。最低でも0.1ドル分くらいあれば大丈夫ですが、不安であれば1ドル以上は用意しておくと良いでしょう。
MATICの入手方法については、Binanceを利用するのがおすすめです。下の記事はETH(Polygon)の入手方法の記事ですが、途中でMATICの購入方法も解説していますので、参考にしてみてください。
NFTを出品する
ガス代が用意出来たら、いよいよNFTを出品しましょう。
NFTページ右上の、「Sell」ボタンをクリックします。
出品の仕上げに入りますが、初回出品時のみここでガス代を2回支払う必要があります。(画像は2回目以降の出品なのでガス代の画面が表示されていません)
ガス代を支払い、Metamaskで承認が完了すれば、NFTの出品が完了です。あとはTwitterなどのSNSで広報したりして、購入されるのを待ちましょう。
プロフィールのセッティングでメールアドレスを入力し、「Notification Settings」で通知を設定しておけば、購入された場合にメールで通知が届くので便利です。
日本で活躍するNFTアーティストを紹介
既に活躍している日本のNFTアーティストさんを、5名紹介していきたいと思います。
さいとうなおきさん
さいとうなおき(@_NaokiSaito)さんは、Youtubeチャンネル登録者数90万人以上を抱える、日本の著名アーティストです。
ポケモンカードのイラストレーターとしても有名で、海外でもかなりの知名度があります。特に人気の”がんばリーリエ”のカードなどは、20万円~30万円以上の価値が付いてましたね。
さいとうなおきさんのNFTはこれまで高額で取引されており、最高額はおそらくBRILLIANTシリーズ最新作の25ETH(約700万円)でしょう。日本のクリエイター界におけるNFTブームの火付け役にもなっています。
さいとうなおきさんのNFT販売ページ↓
村上隆さん
村上隆(@takashipom)さんは、日本の有名な現代美術家であり、映画監督など幅広く活躍されています。
現在ではNFTの分野にも参入してきており、Murakami.Flowersというプロジェクトの立ち上げを行っています。
その知名度と人気の高さから、いま最も世界で注目されているNFTアーティストの一人。まだ目立った販売はしていないので、今後どのようにNFTが販売され、価格がどう推移していくのか注目です。
せきぐちあいみさん
VR/AR/MR/NFT/Metaverseアーティストのせきぐちあいみ(@sekiguchiaimi)さん。
先進的なVRアートで有名で、以前はテレビ番組の「マツコ会議」にも出演していましたね。
最近ではNFT界にも参入されており、注目が集まっています。せきぐちあいみさんのような動きのあるVRアートも、NFTにすることが可能なのですね。引き込まれるような作風で、科学の進歩を感じさせてくれます。
せきぐちあいみさんのNFT販売ページ↓
おにぎりまんさん
おにぎりまん(@onigiriman1998)さんは、日本のNFT界でかなり初期から活躍していたアーティストです。もともとは仮想通貨払いでイラストを受注していたこともあり、仮想通貨界隈でも高い知名度がありました。
クールで個性的な女の子のイラストを手掛けており、そのNFTは界隈でもかなりの人気を誇っています。
過去にはNFTプラットフォーム(tofuNFT)ともコラボをし、NFTを一晩で3000個完売させた実績も。このような大量限定販売(コレクティブル)系の方法を実現させたのは、おそらく日本初ではないでしょうか。
おにぎりまんさんのNFT販売ページ↓
ビットコヌシさん
ビットコヌシ(@bitconusi)さんも、仮想通貨界隈で人気の高いクリエイターの一人です。これまで様々な仮想通貨プロジェクトにイラストレーターとして参画していました。
代表的なプロジェクトはCONUSIVERSEで、実に様々なバリエーションのコヌシがあります。(私の知人曰く、子供にもすごい人気なんだとか。)
NFT保有者はアイコンに使用する権利やエアドロップ等のメリットが得られます。二次創作やコミュニティでの交流も活発ですね。
他にもSUPER CRYPTO MANというプロジェクトにクリエイターとして参加しており、ビックリマンシールをオマージュした、クオリティの高いNFTを作成しています。国内トップクラスのブロックチェーンゲームである「マイクリ」とコラボした実績も。
ビットコヌシさんのNFT販売ページ↓
まとめ
新たなイラストの収益化手段である、NFTの始め方について解説させていただきました。
やはり、NFTは国境を越えてアート文化を共有・取引できることが利点です。恐れずにOpenSeaやFoundationなど、海外のNFTマーケットプレイスへと足を運んでみましょう。
ぜひNFTに興味があるイラストレーターの方は、本記事をお読みになり、NFTと仮想通貨(暗号資産)に関する正しい知識を身に着け、楽しいNFTの世界へと足を踏み入れていただけたらと思います。
Twitterなどでは既にNFTの世界に足を踏み入れたイラストレーター・クリエイターの方が大勢いらっしゃいます。収益化に成功している人も多いです。
先人のノウハウを学んでおくことが大事ですので、TwitterなどのSNSでNFTについて検索もしてみてくださいね。